ガンガンに賞を獲った奥田瑛二監督の話題作を見てきました!平日でしたので空いてました、娯楽ではなくて社会派の作品もたまにはね…。
主演は緒方拳さん。校長まで務めた外面(そとづら)は立派な男だけれど、家庭は顧みない男、松太郎。奥さんに死なれ、娘にも見放されて、独り暮しをするところから物語が始まります。
ぼろいアパートに引越し、隣の部屋になった家族は松太郎の家庭とは違った壊れかたです。母子家庭ですが母親(高岡早紀)は超派手で、若いヒモ男を引っ張り込んでいます。娘はいつも段ボール製の天使の羽根を着けて、アパートのベランダに裸足で座っています。
娘は体中に痣が出来ていて、隣の部屋の松太郎には虐待される際の悲鳴が丸聞こえです。
娘は周囲の大人に完全に心を閉ざしてしまっていました。五歳児なのですが、器物損壊とか窃盗なんて犯罪をします。
ヒモ男は娘に性的な興味があるっぽいし…。
松太郎は娘が不憫であるのと自らの家族への罪滅ぼしから、工業地帯の抑制された空気と空の下から青い空に白い雲がたなびく様な景色を求めて、娘を連れて旅に出ます。
その旅の中で松太郎と娘・幸が心を通わせてゆくロードムービーです。
設定では愛知から岐阜までを電車やバスを使って移動しているのですが、その田舎の風景のロケーションがとても秀逸なのです。季節は秋ごろ、紅葉やどんぐりが登場します。
旅の途中でワタル(松田翔太)に出会います。幸の心を解すキーパーソンになるのですが、どうやら自殺願望を叶える場所を探して旅をしていたらしいです。最後の場所のロケーションも素敵でした。
松太郎は刑法二二四条【略取誘拐】の罪に問われるわけです。三月以上五年以下の懲役です。どんな裁判が行われたのか判りませんが、経年変化の見られない姿で出所していました。
松太郎と幸の別れのシーンは、エキストラ?のおばちゃんがもらい泣きしちゃうくらい切なかったです。
あんまりストーリーと関係ないかも知れませんが、高岡早紀のパイチラがあります!凄い迫力でした。
役者さんはどなたも役に入り込んでいて、さすがに高い評価を受けた作品であるなと納得です。
幼児虐待そのものの実態や、現代の家庭における問題点を描いたのですが、一番気になるのは、幸のその後です。
あの母親の元に帰されるのか?もしかしてまた元の酷い生活に戻ったんじゃなかろーか?
幸せになって欲しいなぁ…。

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