一本は気楽に見れるアニメ『ドカベン』を借りましたので、もう一本は社会派のお堅い作品をチョイスしました。
ややこしい作品でして、『光の雨』という連合赤軍事件を題材にした映画を撮る事を通して、連合赤軍事件に迫る様子を描いた映画です。
見ている人間も劇中の『光の雨』に引き込まれたり、現代の話に連れ戻されたり、混乱するかと思います。
連合赤軍事件についてさらりと解説を。1972年、日本に革命を興すべく20人の若い男女が山篭もりしながら、来たるべく戦争に向けて準備を始めます。
素人軍隊は精神修業に特に厳しく、自分の心の中に反革命的な考えがあると告白し、それを寄ってたかって批判しあう“総括”を行います。
最初の頃は脱走した兵士や俗っぽい兵士をあっさり粛清していたのですが、“総括”は暴力を伴う様になり、リンチでぼこぼこってから極寒の屋外に放置して反省を促すものに変わっていきます。……つーか、死ぬに決まってんじゃん。
そのうちに“総括”に“死刑”も行われる様になり、延べ14人が殺害される事になります。
そんな映画を撮るのは大杉漣さん演じる団塊の世代の監督でした。しかし、撮影を投げ出してしまいます。
その時、映画がぽしゃった残念会を開くのですが、出演者が失言を“総括”させられるのですが、恐かったです。
連合赤軍にも映画の出演者にも、妙な集団心理が発生して、弱い者イジメを正当化しちゃう様な雰囲気が…。
映画は撮影ドキュメントを担当していた萩原聖人さん演じる若手の監督が代打で完成させる事になります。ドキュメントも製作続行され、出演者はインタビューで口々に革命への疑問を訴えます。
ラストシーンは出演者が雪合戦で和気あいあいとはしゃいでいるので、作品そのものが救われたよーな?
出演者がしんどい撮影から開放されて、自由な現代を喜んでいるよーな?
やっぱり終わった過去の事件として忘れてしまったよーな?
どちらにも見えました。
集団心理の怖さは伝わったかと思います。死ぬか生きるかの極限で、自分が生き延びるためには他人を犠牲にする。人間は弱い生き物ですよね!
あのー、憲法9条を見直しちゃって、アメリカと一緒に戦争しちゃう日本になって、自衛隊に誰も志願しなくなり徴兵制度が復活しちゃったら、自分の身近なところでふつーに起こり得るよね?
軍隊の持つ狂気性、忘れてはいけないです。あんなに可愛かった裕木奈江さんの凄みの効いた演技…、やばかったですよ…。軍隊は人間を狂わせる、おっかねー…。
